改修コンセプト
湊山温泉は、自噴天然温泉だけを湯舟に落し込み方式で供給する、古いお風呂屋さんです。むろん濾過器などの循環設備はありません。湯の清潔さは湯舟のオーバーフローによって保っています。又、昔から熱めのお湯で知られ、家庭風呂客には敬遠されがちでした。
今回の改修では浴室のタイルの張替えを中心に
- 低温(40℃程度)の浴槽を作り出す。
- “湯だけ”の湯舟にプラスアルファーを取り込む。
- カラン、シャワーの充実を含む、洗い場の整備。
などをメインテーマとして、同時に飲食サービスの拡充と客用便所の改修を行いました。
低温浴槽は、既存の自動管理された主浴槽を仕切ることによって給湯給水から切り離し、自然降温と気泡風呂の放熱効果で温度を下げています。湯温の管理は主浴槽との間の連通孔による手動管理を原則として、設備工事費の節約をはかっています。又気泡風呂は、従来動きのなかった湯ににぎやかさを付加するのにも役立っています。この低温浴槽によって、元々の高温浴槽(46℃)と中温浴槽(43℃)を合わせて3種類の温度の浴槽が出来上がったことになります。
湊山温泉は泉質が濃厚で、本来湯治場的なお風呂屋さんでした。したがっていろいろな温浴設備が無く、温泉スケールも多いことから設備を単純なものとしてメンテナンスのコストダウンをはかっています。ただ現在の入浴客のニーズを考えた時、タイルを張替えただけの改修ではインパクトに欠ける。そこで、天然温泉を活かせる設備として電気風呂をプラスし、湯に“動き”を演出すると同時に温泉湯をゆったり楽しめる設備としてジャグジーバスを設置しました。ジャグジーバスは、エアーを湯に送るだけなので温泉スケールの影響を受けにくく、浅浴槽に気泡を立てることによって湯温を下げるのにも有効です。又、細長い浴槽での歩行浴を意図して、浴槽底を玉砂利洗い出しとしたり、浴槽改造に伴うデッドスペースを利用して腰湯も造ってみました。さらに、温泉湯だけの浴室に変化をつけるため鉢水兼用の水風呂を今回の改修で新設するなど、予算を抑えてのプラスアルファーを試みています。
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