サウナの温度

お風呂屋さんのご主人にとって、サウナの温度は悩みどころであるという。お客さんによって好みの温度がさまざまだからである。「熱い」と文句を言う人、「ぬるい」とせまる客の間に立って「いったいどないせぇ言うねん!」となるのである。総体的に「ぬるい」という文句が多いのではないだろうか。およそ風呂屋客のサウナ像は「カ〜」と熱いサウナで「ドド〜」と汗を出すというところであろう。
そもそもサウナの温度というのは、入る人に合わせて設定するものではない。機械の効率やサウナの様式、しつらえによって合理的な温度があるはずである。したがってサウナに合わせて入り、サウナによって入り方を変えるべきだとも言える。温度計が100℃を差していさえすれば満足というのは偏執である。乾式サウナの場合、人の居る位置ではせいぜい70℃程度なので、高い位置に付いている温度計の針はこの温度にはあまり関連しないと思ってよい。近年は高温でハードなサウナが見直されつつあって、室温60℃位のソフトなサウナにゆったり入るのが良いとされている。乾燥した高温サウナは、「髪が傷む」「皮膚が荒れそう」と敬遠されつつあり、塩サウナのように比較的低温のサウナが人気を集めている。ともあれサウナの温度は多分に“馴れ”があって、急に温度を変えるとお客さんのブーイングにあうという。少しづつ、徐々に温度を下げたり、温度計の針を固定しておいてお客さんに気付かれないようにするといった工夫が必要かも。
温度の高いサウナほど、浴後の爽快感は大きいが、ガマンして苦しいサウナではなく、楽しむサウナであってほしい。