番台

外からはなかなかのぞくことができない番台の“中”は、誰しも気になるところである。畳半畳ほどの番台には実にさまざまな機能が凝縮されている。
内部は畳などを敷いた“座敷タイプ”と腰掛け式の“ベンチタイプ”があり、その下は物入れとなっている。又、入口で男女が分かれる下足場と一体になっている場合には、番台の下に傘箱や下足箱が組み込まれているものもある。最近はベンチタイプが多いが、長時間座り続ける番台では座敷タイプの方が「足がむくまないので楽」という声もある。
番台にはさまざまな商品や道具が用意されていて、それらを次々に取り出して売ったり貸し出したりする光景は、「ドラエモンの四次元ポケット」のようで子供心にうらやましかった。
昔は色あざやかなジュースが番台のうしろの棚に陳列してあったり、ポマードなど一回分の化粧品、サロンパスのばら売りなども今はなつかしいものとなった。
番台の中には、各種スイッチ類や機械室と通じるインターホンなども設置されており、風呂屋全体の管理センターともなっている。又緊急時の対処、お客さんの苦情のトラブルの処理を行うと同時に、ケガや急病などにそなえて救急箱なども設置されている。他に爪切りや老眼鏡、ライター、サウナのテレビ用リモコンの貸出しなどもする。又、夜遅くアイスなどを買いに来る人も見かける。まさに番台は夜遅くまで開店している売店であると同時に、風呂屋の中枢であろう。
番台には女性が座っているお風呂屋さんが多いが、大阪市内では男性も多い。女性客への視線を考慮して入口側に向いて座るようにしてた番台もある。又、男性側から女性の脱衣場が見えない構造とした番台など、さまざまな工夫もなされている。